僕はクラシックの舞台からポップス・アニソン・ロックの演奏へ舞台を移した人間なのですが
最近色々なチェロ奏者の方がポップスを弾いているのを目にします
でも、こんなことを言うとお怒りの声が飛んできそうですが恐れずに言います。
……それはポップスじゃない!!
ポップス≠クラシック
そもそも、クラシックをずっと弾いてた人間にとっては、
ポップスを弾くのも同じことかもしれませんが、全然違うものなんよ?
言ってみれば、脂こってり大盛ラーメンと、高級中華料理屋で食べるあっさり醤油ラーメンくらい違います。
これはどちらが美味しいかとかではなく、そもそも種類が違うもの。
クラシックの演奏法でポップスを弾いても、それは「なんちゃってポップス」であって
ポップスを弾けた、とは言えないと思うのですね。
ピアニストで言えば、僕の母は国内外で活躍してきたプロのピアニストなのですが
「ジャズピアノは一切弾けない」と言います。まるで別物だということを、誰よりも理解しているからでしょうね。
ポップスの演奏が上手くなる2つのポイント
例えばこの動画をご覧ください。この動画はもちろん弾きたいから撮ったというのもありますが、
クラシックとポップスの違いを分かりやすく見せたかったという狙いでもありました。
①セカンドポジションに頼らない
チェロの演奏の時に、指使いの都合や、柔らかい音を出すために
セカンドポジション(2~4弦)を使うことが多いですが、僕はポップスを弾く時には避けるようにしています。
たとえその結果、少し弾きにくい指使いになったとしても、です。
セカンドポジションを使うと、良くも悪くも音が丸くなり
少しこもって聞こえるのでポップスの音バランスに演奏がマッチしなくなるからです
クラシックは楽器同士の音の重なりや奥行き、柔らかなハーモニーを楽しむのに対し
ポップスは、(比較的)各楽器の音がはっきりと聞こえてきます。
そしてポップスのカバーをするときは、ボーカルの音を弾くことが多いと思うので、
チェロで弾く時には「人の声としてどう聞こえるか」を意識しなければいけません。
※ギターの部分を弾く時にはもちろん、「ポップスのギターを弾くつもりで」演奏します。
たとえば、サビで声がはっきりと張られる場面では、セカンドポジションは使いませんし
バラードのAメロで静かな部分は、逆にセカンドポジションを多用します。
ロックなギターをチェロで弾く時には、もちろんセカンドポジションは使いませんね!
②リズムの感じ方を変える
そもそも、ポップスを演奏・収録する時は「BPM」……つまり
「1・2・3・4」というテンポを聴きながらそれに合わせて行われるわけですね。
クラシック音楽は、もちろんテンポを一定に保つ練習はしますが、
最終的にはピアノやオーケストラとの呼吸感や、1人の曲なら自分なりのテンポ感で合わせていくわけです。
2分音符を少し長く伸ばしたら、その分他の音を短くすればいい。そもそもそこまでテンポに厳密でなくてもいい。
今まで聞いてきたクラシックの演奏動画は、メトロノームと同じように一定のテンポだったでしょうか?
超ざっくりと言えばそれが1番大きな違いです!
クラシック|どこかでテンポがブレても、「最終的にテンポの辻褄さえ合えばいい」
ポップスなど|基本的には「『1・2・3・4カウント』に忠実」
他にもまだまだポップスを上手に弾くコツは存在しますが、
この世界には無限に曲があるように、その方法論も無限に存在します。
基本的にはその人がどういう風に弾きたいかによって、レッスンの中でお教えしていきますが
まずはこの2点、気を付けてみると演奏が変わるかもしれません!