こんにちは、チェロ奏者・作曲家のヌビアです。
突然ですが、あなたはプロの音楽家として稼いでいきたいと思っていますか?
そしてあなたは今、稼げていますか?バイトをしないと生活に困る状況ですか?
日本人は「お金アレルギー」なのでこういう話をすると嫌がられますが、
気持ちよく音楽をするためにも、稼ぐための努力をすることは大事です。
今回の記事はフリーランスの音楽家や演奏家が、この先音楽で生きていくために
大切な「するべき努力」を4つお伝えします。出し惜しみしないので、必ず読んでほしいです。
努力のベクトルを間違えてはいけない
まず最初に、楽に稼げる道なんて存在しないと思ったほうがいいです。
音楽を専業にしたいとなると、なおのことです。
一般的に安定して稼げる職業は「人間の三大欲求(睡眠欲、食欲、性欲)」に関わるものと言われていますが……
じゃあ僕らが仕事にしようとしている音楽とは何か。
それは人の感情に寄り添うものであり、クリエイティヴで、常に目に見えない変化を求められるものです。
だからこそ、僕らは最高に楽しく音楽をして、楽な気持ちで稼ぐために
正しい方向の努力をしなければいけません。
間違った方向の努力を重ねて、肉体的・精神的にストレスを抱え、
うわべだけの音楽をすることほど意味がないものはないと僕は思います。
音楽で稼ぐ方法は「金稼ぎの音楽をしないこと」。
なぜならそれは、1番音楽の精神とずれているものだからです。
【前提】最も必要ない努力リスト
・飲み会に出席しまくる
これに関しては本当に誤解している人が多いです、
必要のない飲み会で時間とお金を無駄にしている人が多すぎます。
詳しくはこちらの記事でかなり詳しく解説していますので、是非読んでみてください。
こんにちは、ヌビアです。 今日は見る人が見たら、大変に怒られてしまいそうな内容になっております。 しかし、ここは恐れずに書きたいと思います。 日本の音楽業界では「人脈がすべて」「飲み会には全部出席しろ」[…]
・「二流」の真似をする
人間は、自分のコミュニティーにおいて身近な距離感の人に影響されがちです。
それは良いことでもありますが、視点を狭めることにもつながります。
あなたがこれから稼ぎたいと思っている人なら、大変申し訳ないですが、
あなたの近くにいるのは「二流かそれ以下」が8割ではないでしょうか。
少し冷たい言い方だったかもしれませんが、自分の技術やポジションを客観的にみることは大切です。
誰の真似をすればいいのか、その判断を間違えないようにして下さい。常に広い視点を持ちましょう。
・片っ端からステージに出る
クラシックでも、ノルマ制のオーケストラとの共演でも、地下ライブでも、対バン企画でも
本当にそのステージに出ることは意味があるのか?ということを考えましょう。
例えば、地下ライブに出演するとなれば15時に会場入りして、リハがあり、
他の演者さんの出番なども含め、本番が終わると21~22時とか。
多い人だと、それに月4本以上も出ている方がいらっしゃいますが
そこにはだいたいチケット5~8枚分くらいのノルマが課されています。
そしてそれを超えると50%バック、というパターンが多いですね。
試しに「月4回、チケット5枚のノルマ制、毎回お客さんを6人くらい呼べる」ライブに参加する場合を見てみましょう。
月の支出の例
チケットノルマ
3000円×5人×4回=60000円
CD製作費(500枚・印刷代や収録費まで含む)(半年に1枚作るとする)
60000円÷6=10000円
本来ライブの時間でバイトしていれば稼げる予定だった額
6時間×4回×1000円=24000円
合計
94000円
※【重要】ノルマは支出と捉えましょう。あなたのお客さんが、あなたのために払ったお金を渡しているのですから。
月の収入の例
物販収入
1000円(CD)×3枚×4回=12000円
チケット収入
3000円×0.5×1人×4回=6000円
合計
18000円
いかがでしょうか?……こうなると「ノルマ分は回収しなきゃ」と集客にたいして感情が薄くなっていき
さらには稼げても10000円程度、回収できないとむしろマイナスなこともあるでしょう。
もちろん採算のメドがあればいいのですが、
大体の方はマイナス計上で、それをバイト代などから補填しているのではないでしょうか。
その出演でファンは増えるのでしょうか?
自身の出番が多ければ物販も売れるでしょうが、それで生活できていますか?
この時に必要なのは「そのライブは誰のために開かれているのか」ということです、
そしてこの答えはだいたい「ライブハウスor主催者の稼ぎのため」です。
こういうことを言うと「ライブごとに色々な出会いもあるし、もし運が良ければ声をかけてもらえるかも……」
という人がいますが、そのライブでの出会いは本当に将来につながるものですか?
たとえそこで中堅プロデューサーに出会ったとしても、
今のあなたは声をかけてもらえてもらえるほどの逸材ですか?
……あなたの考える「すごい人と出会う」「うまくいく」という基準は、低くないですか?
金銭面でも、お客さんへ与えられるものでも、自分の成長という面でも何でもいいのですが
たかが1ステージ、されど1ステージ。1ステージにおいて、価値を生み出せないと意味がないと思います。
成功する人は、この価値判断の基準が高いです。
・SNSで「仕事仲間」と絡みすぎる
これも様々な場面で見かけて「本当にムダだなあ」と思うのですが
仕事仲間同士の「身内感」で絡みを見せすぎることは、努力の無駄ではないでしょうか。
※もちろん例外はあります、例えば大手の人気声優さんなどで「仲良くしているとファンが喜ぶ」
というパターンの場合、ファンにあえて公開の場で会話をするという選択肢があると思います。
ですがそうでなければ、本当に仲がいいのなら必要な時にLINEや作業通話をしていればいいのではないでしょうか。
SNSを巡回し、1つのツイートにリプをするのに1分、と考えても積み重ねたらトータルでものすごい時間になります。
先輩・後輩間で、先輩のツイートに逐一反応をしてリプで絡む……などは本当にムダです。
それは一時だけの先輩へのご機嫌取りにしかならないですし、公開で見せる必要がないからです。
本当に先輩から気に入られたければ、実際に行動して成果で見せることです。
あなたのファンは、別にあなたと先輩との絡みが見たいわけではないでしょうし。
①技術への努力
・技術を高める
1番最初にするべき、そして継続してするべきなのは自分の技術を高める努力です。
そして、はっきり言ってあなたが今の実力になるまでに積んできた努力は足りないです。
僕は少なくともチェロ奏者の中で上位10%の実力は持っていると自負していますが、
そんな僕が経た過程はこんな感じです。
16分の1の音程のずれに気付くまで、延々と弾かされ続ける
ほんの少し音量を間違えただけでやり直し
勉強とチェロ以外に時間を使えない、1日10時間弾くのは当たり前
けっこう僕は、クラシックをバリバリやるご家庭の中ではユルいほうだとは思うのですが
それでもこれです、最低限です(友達と遊べたりはしていたので)。
必ずしも音楽の技術で最強になれ、というのではありません。
何か1つ、今のあなたが活動をしていく上で必要になる技術を高める努力が必要だということです。
・技術を増やす
そして技術に関する努力では、自分のスキルの種類を増やしていくことも必要です。
何か1つ、世界一レベルの武器があって食っていける、という方は別なのですが
そういう方はこのブログを読んでいないと思いますので割愛します。
僕はとても不安症な性格なので、「チェロだけじゃ足りない」「作曲だけじゃ足りない」……と
どんどん新しい知識・技術を覚えようとしてしまいます。
僕の場合は少しやりすぎだなとは思っているのですが、もともと勉強が好きなのもあって諦めています。
最近はHTMLや調理、Photoshopの勉強をしようと思っています。
もう訳が分かんないですね。
ここまで行くとやりすぎ感がありますが、技術が増えると自分のオリジナルな価値を創造できます。
例えば「トップチェロ奏者」はいても、「トップチェロ奏者でDTMer」はわずかですし
「トップチェロ奏者で、DTMer、英語が話せて、ブログ発信」となるともう僕しかいません(たぶん)
まず必要なのは、あなたが他にはないような逸材
ナンバーワンかつオンリーワンな人になって、市場価値を高めることです。
・投資をする
これは作曲家を目指したときに自分の師匠である
作曲家のヨナオケイシさんから最初に言われた教えでもあります。
いい機材、いい音源……投資をすればそれ以上のものとなって必ず自分に返ってくる。
自分が専業を目指したいジャンルで必要になってくるモノには
多少背伸びをしても投資をするようにしましょう。
今まで、PC・マイク・スピーカー……自分が「少し買うのキツイな」と思ったものを買うようにしてきましたが
②コントロールする努力
・出費のコントロール
効率よく結果を出すために、お金のコントロールはとても重要です。
具体的に、主にコントロールすべき項目は
(家賃・ケータイ・電気水道ガス・月額制のサービス……)
・食費
(自炊・外食・飲み……)
・音楽にかかる出費
(ライブ出演・物販制作・Webサイト……)
固定費
1番に家賃は下げましょう。郊外や田舎に移ってもいいです。
必要な時に移動すればいいのですから。
よく「フットワークを軽くするために都心に」という方もいますが
それはすでに稼いでいる人ならいいですが、無理する必要はありません。
先ほどのオンリーワンになるという観点からも、僕はそのやり方はオススメしていません。
むしろ「話したいなら私のところに来させる」くらいのスタンスでブランディングすればいいと思います。
食費
最初にも触れた通り、飲み会は減らしていきましょう。
そしてムダな外食は減らしつつ、自炊するようにしましょう。
僕は外食が趣味なので1人で高いレストランなどにも行きますが、
それでもコンビニで出来合いのお弁当などは買いませんし、自炊はできるだけ安く済ませます。
クリエイティブな仕事をするなら、脳を最大限回していい発想ができるようなコンディションを整えましょう。
音楽にかかる出費
これも先ほどもふれた通り、ライブ出演はよくよく考えて行いましょう。
そして物販制作は、できる限りローコストで初めていくのが大切です。
もちろん体裁の整った、キレイなCDを作るのは戦略的に大切です。
「この人はきちんとした活動者なんだ」と思ってもらえるからです。
ですが、CDを作りすぎて制作のお金が無くなっては本末転倒ですよね。
あとはSNSやYouTubeの発信に全力を注ぎましょう。
・感情のコントロール
そしてあなた自身の感情のコントロールも大切です。
例えばアンチへの対処、動画が伸びないときの切り替え、お金が無くなったときの焦り……
これらについては僕自身が実体験に基づいて記事を書いておりますので是非ご覧ください。
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③仕事への努力
・もらえる依頼を増やす
ライブの出演は精査しましょうよ、というお話をしましたが
その時間をまず「お仕事を増やす」方に使ったほうがいいです。
事務所所属だと都合は変わってきますが、
まだフリーであればどんどん営業メールを出して、かつフリーランス登録制のサイトで募集しましょう。
クラウドソーシング「ランサーズ」は、実績とスキルのあるフリーランスに仕事を発注できる仕事依頼サイトです。ロゴ作成、会社の…
これによって定期的にお仕事をもらいつつ、直営業で単価が高めなご依頼も受けることができます。
依頼を受けたらそれを経歴にして、次の仕事を受けていきましょう。
受かるかわからないものに時間を割くなら、自分のブランド力を高めたほうが早いです。
・営業を減らしていく(自動化)
だんだん経歴がたまってきたら、徐々に営業を減らしていきましょう。
自分の発信力やブランドが高まってくれば、自然にお仕事は入ってきます。
さらに僕は英語と日本語、両方しゃべることができるため
海外・日本と両方から仕事が自動的に入ってくるため、ムダな営業をせずとも収入があります。
そして徐々にご依頼の際の単価を値上げしていきましょう。
仕事を増やすには、自身の単価の調整が不可欠です。定期的に見直しましょう。
人脈を頼りにして収入を得ていくのは、不安定なうえに他人主体になるのでやめましょう。
(※人脈で仕事がもらえたときは、ボーナスくらいに考えておくといいです)
④イメージを把握する努力
・セルフイメージ
セルフイメージというのは、自分はどういう人間だと思っているか、ということです。
・自分の得意分野は、苦手なことは
・どういう時にストレスを感じるのか
・どうすれば自分のメンタルを健康に保てるのか
要するに、自分で自分のご機嫌を取るにはどうするか、
自分はどういう人間で、どういう状態ならいいものが作れるのか、ということです。
セルフイメージを正確に知ることが出来れば、どういう風にお仕事をしていけばいいのかもわかってきます。
また、他人の言葉に振り回されることもなくなります。詳しくはこちらの記事がわかりやすいのでご覧ください
・客観的イメージ
そして、それと同じくらいに大切なのは客観的イメージです。
つまりは、周りが自分をどう見ているかということです。
これはファンがどう見ているか、ファンじゃない第3者がどう見ているかということ。
一例として、SNSの使い方について取り上げます。
これは一時期僕もやってしまっていたのですが、
たとえば自分がおらったお仕事の「宣伝・告知」ばかりしているアカウントってどうでしょうか。
もちろんお仕事の種類(アニメ主題歌など)にもよりますし、お仕事決まって嬉しいと喜んでくれるファンもいるでしょうが、
普段の小さいお仕事なら、お仕事をもらったことをアピールすることでの、自己満足の部分が多いと思うんです。
多くのファンに還元されるモノではないですし、第3者から見るとつまらないTLです。
僕がファンなら「ファンに直接還元されるもの」が欲しいと思ってしまいます。
ですがお仕事先とのつながりから、告知しなければならないということになるかもしれません。
そういう時には
【お知らせ】
〇〇様の『~~~』という作品で歌唱させて頂きました!
とても素晴らしい作品なのでぜひご覧ください!
ではなく(あくまで一例)
ねえ!!!
実は『~~~』っていう作品で歌わせて頂いたんですけど!!!
これを生放送で実況したら楽しそうじゃないですか???ぜひ見て!!!
こうすることでこのような効果が得られます。
前者の例だと、一見ファン目線のようでいて、完全にご依頼主さんへのベクトルが強めです。
・自分のコンテンツへつなげる
生放送、という要素を出すことで自分のファンへも還元されることをアピール。
さいごに
おそらくこの記事を読んでいる方で、本当に音楽を仕事にしたいと思っている方、
努力量はまだまだ足りません。
ですが、音楽を仕事にしたいと思っている人の9割が、努力のベクトルを間違えて
飲み会に行きまくったり、人脈をムダに広げようとしたり、効率の悪いSNS運用をしたりしているように見受けられます。
僕は楽しく音楽をできなければ「音楽」の意味がないと思っています。
あなたが楽しいと思う音楽の形をあきらめずに、適切な努力の方向を見つけていくことが大切です。
・コントロール
・仕事
・イメージの把握
今回取り上げたこの4つの項目を意識するだけで、
音楽の楽しみ方、稼ぎ方、発信の仕方、動画の伸ばし方……その根本的なヒントになるはずです。
より詳しい運用については、このブログの別記事をご参照頂いたり
直接より詳しいご相談があれば、下のページから誰でもお気軽にメッセージを下さいね。それでは!